北信濃神楽採訪

「信州の祭り大百科」（昭和六三年十二月十五日、
長野県民俗の会監修、郷土出版社）から引用

字賀神社祭り  上水内郡信濃町

　・・八月二十六日午後一時、幣帛供進使神社庁庁長が参向
のもと、氏子総代らが着席すると宮司宮川神官の祝詞奏上が
行なわれる。・・午後四時、お神輿（祭神市杵島比売命、普
通弁天さんという）が本殿を出発して渡御となる。・・
立ケ鼻岬に上陸したお神輿は赤い御所車風の車に安置され、
町の人々の出迎えの中、社名旗（宇賀神祉）、錦旗、薙刀な
どを先頭に行列を作って、前後の神楽が「道中囃子」を奏し
ながら、町（旧北国街道野尻宿）の中央にある里宮（野尻公
民館）に向かうのである。里宮の仮安置所に遷座後、神主・
氏子総代ら役員が着席したところで、お祓いがあり、ただち
に獅子舞（女獅子）が一舞奉納される。・・
二十八日午後一時半より「お神輿回村」と称して本格的な行
列を作って神楽の笛・太鼓を鳴らして全町を練り歩く。この
行列は午後四時過ぎには立ケ鼻岬を出航し、お神輿は本宮へ
還御となるのである。・・    （文は矢野恒雄氏）