須坂のシメキリ
シメキリ(注連切り、標切り)は、お宮の鳥居などに張られたシメ縄を天狗や獅子などが舞いながらたち切る芸能です。飯山市や須坂市などで行なわれています。京都祇園祭でも長刀鉾に乗った稚児による「注連縄切り(しめなわきり)」が行われていますので、シメキリは全国で行なわれていると思います。県境近くですが津南町赤沢、上越市板倉開田でも見ることができました。
北信濃では、天狗のシメキリが栄村、野沢温泉村、飯山市、木島平村、山ノ内町、長野市に分布しています。飯山市奈良沢をはじめ奥信濃では松明(たいまつ)を使ったシメキリも各地で行なわれています。また、獅子のシメキリは栄村、須坂市に分布しています。
シメキリの所作や囃子は様々です。須坂市下八町では、鳥居に張られたシメ縄の前で獅子舞が行われ、その途中でシメキリの舞が挿入される構成になっていますが、「剣(つるぎ)」という演目名がついています。この舞と囃子が須坂市内と旧牟礼村の袖之山と番匠に伝わっています。旧牟礼村の方ではシメキリを伴わず舞だけです。かつて須坂から伝わったものでしょうか。この舞いで獅子だけの一人立ちにしてしまう点や、刀と鞘を用いるところは、大神楽獅子舞ではユニークだと思います。
シメキリの際の囃子はとても軽快で、短い旋律を繰り返します。獅子は刀と鞘を手に、しめ縄の手前で四方(三方?)を向いて舞いますが、何回目かに獅子はシメ縄に正対し、囃子に合わせてシメをたち切ります。シメキリ後、奥信濃とは違い直ちには鳥居に入らず、続けて二人立ちの怒り舞につながります。
須坂市内でも墨坂、村石などでは異なる囃子のシメキリでした。また、まだ全地区は見聞きできていません。
分布
- ○ 似通った囃子を確認できたところ